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緑内障の検査、治療について

緑内障では視野が欠けますが、多くは自覚症状がありません 

40歳以上の方の約5パーセント、70歳以上の方では7~8人に一人が緑内障であるといわれており、日本では緑内障は失明原因の第2位です。緑内障では、視野が徐々に欠けていきますが、多くの場合、進行してしまうまで自覚症状がありません。検診などでの早期発見が重要です。

眼底写真 視野検査

上の例では、右眼の下方に神経線維層の障害があり、対応した上方の視野欠損があります。自覚症状はなく、検診で偶然見つかった緑内障です。

眼底写真 視野検査 中心視野

この例では、左眼の上下に神経線維層の傷みがありますが、視野は下方の障害が強くなっています。中心視野まで視野欠損は進行しており、しっかりと治療する必要があります。

緑内障診断におけるOCT(光干渉断層計)の活用

OCTを使用し、網膜構造を詳細に解析することができます。下記の例では、OCTで右眼の神経線維層厚と神経節細胞層の減少がみられ、眼底写真では下方に網膜色調の暗い領域として認められます。

神経線維層厚解析 神経節細胞層厚解析 眼底写真

次の例では、OCTでも左眼の上下に神経線維層厚の減少がみられ、神経節細胞も減少しています。

神経線維層厚解析 神経節細胞層厚解析 眼底写真

また、OCTを用いると、神経線維層の厚みなどを経時的にみることができますので、進行しているかどうかの判定にも有用です。

右眼 左眼

このようにOCTでは網膜~視神経の構造変化を見ることができ、非常に有用ですが、問題点として、偽陽性、つまり正常の方でも異常値が出やすいという点で注意が必要です。特に近視が強い方などはその傾向があります。したがって、緑内障か否かの判定は、上にあげたような眼底所見、視野検査結果、OCT等の結果などを総合的に判断する必要があります。緑内障かどうかはっきりしない場合も多く、そういったケースでは定期的な視野検査が重要となります。

緑内障の点眼

緑内障に対しては多くの場合、まず点眼薬で治療を開始します。いろいろな種類の緑内障点眼薬がありますが、効果、副作用などを考慮しながら最適な点眼薬を選択する必要があります。一種類では効果不十分の場合は複数を組み合わせて使います。

緑内障の手術(含レーザー治療)

点眼薬では効果が不十分な場合には、手術が必要となります。手術には、線維柱帯切開術、線維柱帯切除術などの種類があります。近年では「選択的線維柱帯形成術(SLT)」などの新しいレーザー手術も開発され、注目されています。SLTは従来のレーザーと異なり、線維柱帯の色素細胞のみを選択的に標的とするため、周囲の正常組織への影響がほとんどないとされ、繰り返しの治療も可能です。当院でもSLT用レーザー装置を早速導入し(右図)、点眼薬などで効果不十分な緑内障に対して治療を行っています。

当院での視野検査 

通常の視野検査は白色光で薄く照らされたスクリーンに白い光を投影して行います。これはホワイト オン ホワイト視野とも呼び、視野検査のスタンダードなのですが、一方でこれで異常が検出された時点ではすでにかなりの割合まで神経の障害が進んでしまっていることが分かっています。そこでもっと早期に緑内障をとらえる視野検査がいろいろと試みられています。その一つがブルー オン イエロー視野で、黄色く照らしたスクリーンの上に青い光を投影して検査を行うもので、別名SWAP(スワップ、Short Wavelength Automated Perimetryの略)と呼ばれます。この検査は緑内障では青色を感じる細胞にまず変化がでることが多いことを利用した検査で、通常の視野検査に比べて3年から4年早期に緑内障の視野異常を検出できると言われています。これらと視神経所見その他の検査とあわせて緑内障を早期に発見する事ができれば、より早期に治療を始める事ができるので、非常に有用だと考えています。

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