当院での白内障手術について
手術実績
手術実績(開院H20年8月~令和5年12月末) | |
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白内障手術総数 | 5719件 |
うち単焦点レンズ | 5332件 |
うち多焦点レンズ | 387件 |
白内障手術の流れについて
当院で行っている白内障手術の流れを説明します。
点眼麻酔
麻酔薬を点眼し、麻酔を行います。注射の麻酔を併用することもあります。
切開創の作製
→ナイフを用いて、幅2.5ミリ以下の小さな切開創を作ります。
前房形成
粘弾性物質という粘り気のあるヒアルロン酸ナトリウム製剤あるいはヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸ナトリウムの配合剤を、水晶体と角膜の間の前房に注入します。いずれの薬剤を使用するかは、眼の状態で異なります。粘弾性物質で前房形成することにより、次の前嚢切開が安全に行うことができます。
前嚢切開(CCC)の作製
主にセッシを用いて、水晶体をおおう袋の前面(前嚢)を円形に連続切開します(CCCといいます)。この作業により、水晶体の中身にアクセスできるようになります。
水流核皮質分離
注射針で水流を水晶体嚢と水晶体の間に注入することによって、両者を分離します。
超音波乳化吸引
→超音波振動する金属製のチップを用いて、水晶体の中身を細かく砕き、吸いだします。通常、まずいくつかのブロックに分割したのちに、各々のブロックを乳化吸引します。進行した白内障では、水晶体の核が硬化しているため、さらに細かいブロックに分割しながらの作業となり、所用時間が長くなります。当院では最新の白内障手術装置の一つであるALCON社製CENTURIONを使用し、水晶体超音波乳化吸引術の安全性と効率の向上を目指しています。
皮質吸引
水晶体嚢に残った水晶体皮質を吸引して除去します。
眼内レンズ挿入
→インジェクターという筒状の器具に収納され、折りたたまれた状態の眼内レンズを、水晶体嚢の中に注入します。レンズは眼内に入ったのちにゆっくりと広がり、固定されます。乱視用レンズを使用した場合は、こののち、レンズの軸を合わせて固定します。
眼内洗浄
最後に、眼の中に残った粘弾性物質を吸引、洗浄して手術終了です。上記に使用した図は、Johnson&Johnson社の「白内障のぎもん」サイトより引用しております。手術の体験談なども掲載されておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。白内障のぎもん (beyondcataracts.jp)
日帰り白内障手術のスケジュール
数十年前は原則として入院で行われていた白内障手術ですが、術式が洗練され、侵襲がより小さくなったことで、近年では日帰りで施行することが可能となっています。当院では、手術当日は眼帯をしていただきますが、特に安静の指示はしておりませんので、そのまま歩いて帰って頂くことができます。ご希望の患者さんにはビルの前までタクシーをお呼びします。
眼帯は原則として翌朝の診察時に外し、以後はデスクワークなど軽い作業は可能です。
手術の翌々日の朝から洗髪、洗顔は可能としております。
また、内科等で出されている内服薬は、止めたり休んだりする必要はありません。手術当日もいつも通り、服用してください。
もちろん、ほかに持病があって入院での手術を希望される方には、入院可能な施設を紹介しておりますので、診察時にご相談ください。
術後1か月時点で眼鏡の作製が可能となります。術後の点眼は、3か月をメドとして中止しております。
手術のリスクについて
白内障手術において発生しうる合併症として次のようなものがあります。
- 後嚢破損
- 核落下
- infusion misdirection syndrome
- 術後眼圧上昇
- 屈折の誤差
- 術後眼内炎 など
術式の洗練に伴って、これらの合併症のリスクは以前より減少しておりますが、万一認められた場合は、迅速に必要な措置を行います。